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初恋
この歳になるまで人を本気で好きになることなんてなかった。
過去に付き合っていた奴は山ほどいるが自分から好意を寄せたこともなくただ性欲の捌け口にしていたと思う
きっと付き合ってきたやつの中には本気で俺に惚れていた者もいるかもしれない。でも…半分以上は俺の連れ目当てだった。
その連れが俺が付き合っていた奴らをことごとく寝取っていった。
初めて奴と出会ったのは小学校入学後間も無くだった。
群を抜いて綺麗な容姿で名前も彩芽なので女だと疑わなかった。
クラスも違ったから奴との接点なんてほぼなかったけどたまたま帰り道に奴がからかわれているところに遭遇した。
俺はなぜか有名で俺に逆らう友人などいなかった
別に弱いものいじめなんてしたこともないし興味もない。
ただ一人相手に大勢という構図はどんな状況であろうと嫌いだった。
「なにやってんの?そんな大勢で囲んで」
「げっ…カズじゃん…行こうぜ…」
「お前大丈夫か?」
「ありがとう。私は葛切 彩芽。君は?」
「蘇芳 和海。よろしくな。怪我とかないか?大丈夫か?何があったの?」
「私…自分が男の子なんて知らなかったの…お母さんにずっと女の子って言われてきたから…でも体育の時…周りに言われちゃって…どうしていいかわかんなくて…」
「で今の状況だったんだ」
「…やっぱり気持ち悪いよね?」
「別に。それがお前ならいいんじゃない?」
それから仲良くなった俺たちは中学までは同じ学校だった。
彩は強い奴だった。いじめを逆手に取り全て跳ね返したのだ。
卒業する頃には誰よりも人気者になっていた。
高校からは違ったけど結局隣接する兄弟校に通っていたため縁はきれなかった。
あいつがおかしくなったのは高校入学する少し前だった。
小学校高学年になり声変わりが始まり体つきもしっかりしてきた彩を見て母親が育児放棄をしその頃から施設に預けられその数ヶ月後には新しい家に引き取られていた。
確か医者の家だったと思う
何があったのかはその頃にはわからなかったがそれはのちに分かることになる
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