463 / 690

灯火 22

夕燈side 「十夜。仕事終わったよ」 「早かったですね。これから出ますから…おそらく10分くらいかかります」 「わかった。待ってる」 良かった…迎えに来てくれる…今日も会える… 店はもう俺しかいなくて静まり返った店内を見渡し十夜が来るときによく座る席へ腰を下ろした。 十夜からどう見えてるんだろう… 幼馴染み?店の人?股の緩いバカな男? わかりっこないけど… 「十夜…好き…」 朝陽の代わりでいいから早く抱き締めて… 店の鍵を閉め外に出た丁度のタイミングで十夜がやって来た 「夕燈さん。お疲れ様です」 夜なのに爽やかな笑顔がよく似合う十夜を見詰める 「ありがとう。十夜」 「いえ。約束ですから」 「約束…ね…」 「何ですか?」 「何でもない」 「思ったより元気そうですね」 「だから言ったじゃん。莉音のことはもう仲のいい友人の一人でしかないって」 「よかった。笑えてますね」 笑えるよ。だって隣にお前がいるから 今は俺を見てるから 十夜の丁寧な運転で向かう道すがら横顔を見つめ続けた… やっぱり綺麗だな… 「着きましたよ」 助手席に回り扉を開けてくれる姿。嫌味なくとても似合ってた

ともだちにシェアしよう!