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生徒会合同会議にて
雷太と雪が林の中で抱き合い、雷太が雪をマーキングしたという事実は瞬く間に学園中に広まった。
やはり目撃されていたのだ。
その目撃者が鬣犬であればよかったのにと雷太は思わずにいられない。
しかしこれでしばらくは悪戯に雪を口説こうとする輩はいないだろう。
雪は雷太の縄張りの中で一応は守られている形になったのだから。
雷太は結果的によい成果を残せたことに満足し、甘く淫らに乱れた雪を思い出し溜息を吐く。
あれからというもの、ちょっとした時間の隙間に雪のことばかり考えてしまう。
雪の名を体現したような真っ白できめの細かい肌。
華奢な身体に細い腰。唇も、胸の突起も、淡い茂みの中ですら桜色だった。
ぼうっとしながら考えてしまうのは情けないことにそんなことばかりだ。
「どうしたんですか溜息なんか吐いて。最近多くないですか?」
「すまん。気を付ける」
まさか雪の性的破壊力が凄すぎて……などと言える筈もなく、雷太は咄嗟に謝り、溜め息の訳を誤魔化した。
こうして雪を思い出しあれこれ想像するのは多少の罪悪感にも苛まれるが、誰に咎められることもない。
しかし現実の雪は、性的な目で見る男を毛嫌いし、自分を含む肉食獣人に怯える気弱なウサギ。
(はぁ……、どうしたものか)
心の中でまで溜め息を吐き、雪に対して今後どう振る舞うべきなのか非常に悩めるところである。
「また溜め息ですか」
紅の声ではっと気付いた。リアルにまた溜め息を吐いていたらしい。
「雪のことでちょっとな……」
正直に雪のことだけを口にする。
それだけでも、自分は今、雪に振り回されているのだと紅は理解できるだろう。
「もしかして、無理矢理マーキングしたとか?」
「まさか。きちんと納得してもらった上での行為だ」
「じゃあなんですか。この後草食組との合同会議が控えているんですから、その府抜けた顔はやめてくださいよ」
「腑抜け……」
それはまずい。この合同会議で今年の雪の体育祭が輝かしく良き思い出にできるかどうかが掛かっている。
雪の話を聞く限り、昨年の体育祭当日、一日中ベッドの中で寝ていたなんて誰かに陥れられたと推測する方が自然だろう。
考えたくはないが、薬で眠らされていたのではないだろうか。
そしてその首謀者は恐らく草食組の生徒会だ。
決めつけてはいけないが、教師も一枚噛んでいる気がする。
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