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birthday cake 1

「今日はセックス禁止な」 「は!?なんで!?」 目の前で満足げにケーキを頬張るその男から発せられた言葉に、八坂 明弘(やさか あきひろ)はコンマ数秒で聞き返した。 「やだから」 それに対抗するかのようにこちらもコンマ数秒で返したのは、九島 友貴(くしま ゆうき)。 2人は付き合って1年半を迎えようとしている。 「理由になってない却下!!なんで!?Why!?もしかして昨日背面座位やったのそんなに気に入らなかった!?」 「何気に昨日のプレイ引っ張り出してくるのやめろ!!」 今日はそんな2人で迎える累計3回目の誕生日であった。しかし、今回の誕生日は一筋縄ではいかないらしい。 「いや本当になんで…?だって最初の友貴の誕生日も俺の誕生日もしっかりやったし…」 「それがいやなんだよ!だってこのままだと誕生日イコールセックスするみたいなイベントになるでしょ伝統みたいに!」 「え?違うの?」 「うわマジか」 きょとん、と。 まるで「俺何か間違ったこと言いました?」と顔が語っているような表情を浮かべる八坂に九島はこめかみを押さえて溜息をついた。 「いや明弘は鮮明に記憶があるからいいじゃん……」 「え、なに。友貴お前覚えてないの?去年の誕生日とか」 「覚えてるわけねえだろ。俺の記憶ぶっ飛ぶくらいがっついたどっかの誰かのせいでな」 「えー誰だろー!きっとその人、ものすっごいイケメンなんだろうなー!」 「しばくぞ」 「ウィッス」 なんの進展も見えない会話にまたつきそうになる溜息を堪えて、九島は烏龍茶を飲み干した。 「あと今回は酒も禁止」 「はぁ!?それはないだろ!酒関係ないじゃん!!」 「関係大有りなんですねそれが!酒飲んだ後酔った勢いでほぼ俺が犯されるような形でセックスしたこと何回ありましたっけー?ええ?」 「いや、あの、それは……弁明の余地もないわ……」 「……分かればいいんだ。ほら、烏龍茶やるよ」 珍しく反省の色を見せる八坂のコップになみなみと烏龍茶を注いだ。 ワンホールあったケーキもいつの間にか半円型になっていた。

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