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birthday cake 2
「……別にさ、その、明弘とヤるのが嫌なわけじゃないんだよ」
ぽつり、と呟いた友貴の言葉に俺は顔を上げた。
「じゃあなんで」
「覚えてたいんだ。この日を。大好きなやつ独り占めして祝ってもらえてる、この瞬間を」
ケーキを食べていた手が止まった。
「だってこんな幸せなことないだろ?…なのに去年は起きたら腰痛と二日酔いで幸せの余韻もクソもない状況で……」
去年のことを思い出して苦い顔をする友貴に思わず、プッと吹き出していた。
「ッ…フフフ…!おま、マジか…!」
「んだよ笑うなよ!しんどかったんだからな!?」
今度は頬を膨らませてこちらを睨む。
「友貴って意外と女子というかなんというかっ…」
「馬鹿にしやがって」
「やっぱ可愛いな」
「っ…!」
素直に思ったことを口にすると、友貴は顔を真っ赤にしてさらに俺を睨んだ。その姿もまた愛しくて。
ふと、友貴の頬に目をやるとなにやら白いものが付いていて。それがクリームだと理解するのに時間はかからなかった。
「明弘はこういう所がずるいんだよな」
そんなことは露知らず、喋り続ける友貴を見て「良いこと」を思いついてしまいニヤリと笑うと、八坂は即座に立ち上がった。
「え!?なに、ちょっ、おっま、今日色々禁止したばっか…」
さすがにギョッとして後ずさる友貴の隣にドサリと腰を下ろした。
「やめろよこっち来んなよ」
依然として避けようとする腕をグイ、と掴んで抑えて、
「!?」
そのまま頬に付いているクリームに唇を寄せた。
「…んっ!…なっ…ぁ…」
いきなり触れられてビクリと身体を震わせる友貴に構わず、ついばむようにしてクリームを舐める。
「…っ…んんっ、やっ…」
明らかに嫌そうではない声が友貴から漏れて満更でもない様子に、やばいスイッチが入りかけて危うく自制して顔を離した。
「…クリーム、付いてたよ」
そう言ってニヤリと笑うと、耳まで真っ赤にした友貴がプイ、とそっぽを向く。
「……普通に、言えよ…」
若干息が上がっていて、潤んだ目が恥ずかしそうに俯いた。
「いや付いてるとこ分かんないかなーって」
「んな訳ないだろ!こっちはたっ、」
「…た?」
「っ……!」
そっぽを向いたと思ったらまた、キッとこちらを睨んで、
「……こっちはっ、……………勃っちまったのに…どうしてくれるんだよ……!」
泣きそうになりながら友貴は股間を押さえていた。
「…いやでも今日セックス禁止じゃん」
「……お前本っ当性格悪い。……もう禁止令なしでいい。…責任、取れよ」
キュッ、と友貴は俺のズボンを握る。
「…じゃあ」
そんな友貴の髪の毛にふわりと触れて、髪の毛に埋めるようにキスを落とした。
「忘れられないくらい、優しく抱いてやるよ」
ーーー誕生日の夜はまだ、始まったばかりだ。
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