9 / 18

9

「和、そろそろ帰ろうか。今日はどこか寄り道して行く?」 「徹の奢り?」 「え? 俺が奢らないと寄り道してくれないの?」 「……まぁ別に奢りじゃあなくてもいいけど」 和という人間をもっと知りたい。他にどんな可愛いところがあるのだろう。どこまで俺を信じて、気を許してくれるようになるのだろう。 「和、新しくできたパフェ屋さんに行く?」 「あ? 徹と俺で? バカじゃあねぇの。キモすぎんだろ」 「でも和さ、帰る時にいつもボードに書かれているメニューをじっと見てるよな? 本当は甘党で、パフェ好きだろ?」 「なっ!」 頬を真っ赤に染め、いつもは睨むようにして細められているその目が大きく見開いた。一緒に開かれた口からは八重歯が覗き、戸惑った勢いからかシャッと俺の腕を引っかいた。どういう否定の仕方だよと笑えば、今度は鞄を俺の背中へと叩きつけてくる。 「すっごい痛いからパフェは和の奢りだな」 「俺は別に、パフェとか、好きじゃあ、ねぇし!」 「はいはい、またそんな嘘ついちゃって」 「嘘じゃあねぇ! そもそもお前もパフェ好きじゃなきゃあ、わざわざ俺となんか行かねぇだろ? お前のパフェ好きに俺を巻き込むな!」 とどめを刺すかのように俺を蹴り上げようとした和の足から逃げ、背後へと回った。後ろから抱きつき耳元にフッと息を吹きかければ、ぞわぞわしたのか大人しくなった。 「じゃあ俺がパフェ好きで食べたいから付き合ってくれる?」 「……どうしてもって言うんなら」 「嫌なのに俺の好きなことに付き合ってくれるなんて、和は可愛いだけじゃあなくて優しいんだね」 「……っ、」 完全に照れた様子で大人しくなった和は、唇を噛みしめると、手の甲で頬を隠した。「時々、徹は意地悪言うよな」なんて、可愛い言葉をゴニョゴニョ言いながらまた俺を刺激してくる。目的が変わってしまった。こんな姿を見せられてしまえば、誰だって他の奴には見せたくないと、そんな気持ちになるだろう。この和は俺だけが知っていたい。

ともだちにシェアしよう!