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与えられたオモチャを独り占めする子どもと同じ気持ちが未だ自分の中に存在するなんて。ましてそれが与えられたものでなく自分で手に入れたものなら尚更その思いは強くなる。
「徹……」
「なに?」
「俺、お前のこと嫌い」
「え?」
「……嫌い、だったのになぁ」
休日なのに、和は俺と一緒にいた。断られるだろうと思ったのに「和の家に行きたい」と言った俺を拒まなかった。久しぶりに友人を家に連れてきたらしく、和のお母さんは俺をとても歓迎してくれ、今日は泊まって行けばいいとそんな流れになり、まさかのまさかで俺は和の隣で眠ることに。
ベッド派じゃあなくて布団派だったのか、布団と布団をぴったりくっつける派だったのか、とかそういうことを気にしている暇はなく、お風呂上がりで眠くなったのかぼんやりしている和が座って漫画を読んでいた俺の肩にもたれかかってきているこの状況に心臓が騒いでいる。
「嫌いだったのになぁってことは、今は好きってこと?」
「……そんなこと言ってねぇだろぉ」
「和、もう眠いんだろ? そろそろ寝ようか」
「嫌いじゃあなくなったってだけで、それがイコール好きなわけじゃあねぇよ」
「はいはい、分かったからもう寝ような?」
俺と同じくらいの身長で体格は俺より良く、お世辞でも軽いとは言えないその体を支え、そっと布団へと寝かせてあげた。まだ完全に乾いていないその髪は柔らかそうで、指先に絡めて遊ばせると、「触んなぁ」と甘えた声を出す。
「和、可愛いね」
「そんなこと……ねぇ、よ……」
「ふはっ、おやすみ」
すとんと寝落ちてしまった和に布団をかけた。今の和を見れば名前にも納得できる。口は悪いけれど彼のことを知れば知るほど一緒に過ごす時間は穏やかになる。
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