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第35話

「月野さん? ……あっ……」  月野は自分の昂ぶりをひなたのそれへとピッタリと重ねた。  素肌と素肌が触れ合っている。  重なり合った部分からたまらない快感が込み上げ、みるみるうちに、ひなたのそれも熱を取り戻す。 「……一緒に……ひなた……」  耳元で月野の掠れた声が響く。低く甘い声はセクシーで、たまらなく切なくひなたの心を乱す。 「月野さんっ……月野さんっ……、あっ……あんっ……」  月野が二人の勃起を合わせたまま、ゆっくりと動き出した。 「ひなた……」 「あっ……ああっ……、月野さんっ……」  得も言われぬ気持ちよさに、頭が真っ白になる。  ひなたは月野の広い背中に華奢な腕を回して、快感に震える声を零した。  月野の動きはだんだん早くなり、先にひなたが耐えきれずにイッてしまい、そのすぐあとに彼もまた、低い呻き声とともに達した。  静かな部屋に二人の荒い吐息だけが聞こえている。  ひなたは伸し掛かっている月野の重さを愛おしく感じながら、彼の速い胸の鼓動を聞いていた。 「……ごめん」  唐突に月野が謝った。 「え?」 「こんなこと、するつもりじゃなかったのに……」 「そんな……なんで、謝るの? オレ、とてもうれしかったのにっ!」  思わず力いっぱい叫んでしまってから、我に返るひなた。  うわ、『うれしかった』なんて、オレ、なんて恥ずかしいことを……。

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