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第39話

「……おまえ、いったいなんてことを言うんだよ……」  いつも冷静な月野がかなり戸惑っている。  ひなたは太ももの上で両方の拳を握りしめ、言葉を続けた。 「オレ、月野さんのこと、すごく好きで……愛してる……。だから……、月野さんと、その、ひ、一つになりたい」 「ひなた……」  月野が戸惑い顔から困ったような微笑みになった。 「体を繋ぐことだけが、愛の形じゃないだろ? オレはおまえのこと好きだし、すごく大切に思ってる」 「…………」  ひなたは納得いかなかった。  なんだか、うまく言いくるめられたような気がする。  確かに月野さんの言う通りなんだけど、でもオレはやっぱり月野さんのすべてを手に入れたいよ。  だって、月野さんの元奥さんも、それ以前に月野さんとつき合っただろう女性たちも、月野さんを手に入れてるのに……。  彼の過去の女性たちと自分を比べる気持ちはないけど、……いや、やっぱり比べているのかな? よく分かんないけど。  でもやっぱりオレは月野さんと一つになりたり……。 「こんなふうに思うオレって、色情狂なのかな……」  心の中で思っていたことが独り言となって口から飛び出し、それを聞いた月野が笑った。  ひなたはふくれた。 「そ、そんな、笑わなくてもいいじゃん」 「悪い悪い。でも、ひなたは色情狂なんかじゃないよ。それどころか純情でかわいいよ」 「…………」  結局、子供あつかいされている気がして、ひなたの気持ちは晴れなかった。

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