85 / 96
第88話
「そんでこの前さ………」
「は!?嘘だろ〜wwそしたらこの間……」
「………」
いつもと変わらない、友人達の会話を聞く。
くだらない話、色づいた話、どれも聞いてて阿呆みたいで笑ってしまう。
でも、何か足りない。
もっと別の、気になるような事───────
そう思っていた時。
「っ、」
「……っ、すんませ、」
すれ違いざま肩がぶつかる。多分先輩だろうな、なんて軽く思ってた。
目に映る透き通るような白髪。もしかしたら女子よりも細い身体。
髪の毛の隙間隙間から見えた、色水を零したような輝くグリーンの瞳。
「ごめんなさい…」
か細い小さい声、でもその声はどこか胸に優しく入ってきて。
すぐに歩き出して、距離が遠くなる。すれ違いざまに香った檸檬の匂い。
なんだろう、この感じ。
凄く知りたい、もっと話したい。
「おーい、秋人何してんだよ」
「っ、今行く!」
あの人が気になって、仕方がない。
ともだちにシェアしよう!