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第89話

「………先生」 「ん?どうしたの月山くん」 職員室、扇風機ひとつ無い教室より断然涼しく1つの涼を得られる場所。 だけど俺は涼をとる為に来たんじゃなくて。 「お願いだから小テストの採点に晩御飯のリクエスト書くのやめてください」 「え〜」 周りに聞こえないよう小声で話すけど先生は普通の声量。 少しは気にしてほしい。 俺は席が後ろの方で、プリントとか前の席の人が後ろの人の分を回してると必然と他の人のも見えたりしちゃう訳で。 最近晩御飯のお強請りを小テストの採点と共に書いてくるから俺の前の席の人が不思議な顔をして渡してくるのだ。 「他に伝える手段とかあるでしょう…」 「だってこの方が楽しくない?秘密の関係って感じがして」 「っ!」 「あはは、顔真っ赤〜」 からかわれてるのは分かってる。でも、つい反応してしまう。 俺は、先生と付き合ってる。 未だに信じられないけど、ほんとなんだってたまにしみじみ思うこともある。 「か、からかうのはやめてください!」 「からかってないよ、月山くんが可愛いなぁって思っただけ」 ぐぬぬ、その余裕のある顔が恨めしい。 仕返しに今日の晩御飯、先生の嫌いな人参料理だらけにしてやる。

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