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第7話

「戻りました〜〜」 「あーっ!中村さん!おかえりなさーい!」 仕事場に帰ると、いつもの面々に出迎えられる。 とはいえ、その目的は中村本人ではない。 「ほら、気を付けて持てよ?」 「えへ、いつもありがとうございま〜す」 手渡した紙袋から、小さな白い箱を取り出す。いつもと違うそれに不思議な顔をしながら箱を開けると、すぐに目を輝かせた。 「わわっ!何これ何これ!」 「大田、コーヒーあるよな?」 「あっ、はい!今用意しますね!」 デスクに積まれた雑誌を避けて、すぐに運ばれて来たコーヒーを一口啜る。 あー、やっぱ違う。 さすがに人に用意してもらったものに対してそんな言葉は言えないが、しかしそれは本音で。つい30分ほど前に極上のコーヒーを飲んで来たのだ、ポットのお湯を注いで粉を溶かすだけのものと比べられるわけがない。 「珍しいですよね、いつも虎屋さんの和菓子を買って来てくれるのに」 「ああ、まあ、たまにはな」 スマホのスケジュールを開き、この後の予定を確認する。校正に回す原稿もまだまだ余裕だし、今日の取材メモを簡単に打ち込むだけでいいだろう。 徐にノートパソコンの電源を入れようとしたが、その指先を自分のスマホに向ける。ロックを解除し、メッセージアプリを開いた。 『17時にはそっち行ける』 それだけ送信すると、すぐに既読の表示が付いた。

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