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第20話
希一と接していて分かった。
彼は自分の意見はしっかり持っているが人に対してはとても謙虚で礼儀正しい。
だが何となく人と距離を取っているような気がする。
あまり人を近づけ過ぎない感じがある。
まぁそれは接していく内に何とかなるだろうと楽観的に考えることにする。
しかし、いい……
馬の背に乗り障害物を飛び越える練習をしている希一をじっと碧は眺めていた。
練習を終了し馬から降りて碧の元へとやって来た。
「碧さんよくここに来ますね。
生徒会のお仕事は大丈夫なんですか?」
「ああ……それは終わらせた。
それにここに来るのは動物に慣れるためだ!!
動物が苦手なんて生徒会長としてダサいだろ!!」
何とも白々しい言い訳だが希一はそうなんですねと笑顔で対応してくる。
「そうだ、どうせなら乗ってみますか?」
「え?」
「慣れたいのなら乗ってみるのが一番いいと思います。」
「いや、僕は……」
「はいこれ、ヘルメットとベスト着けてください。」
有無を言う前にそれらを渡され仕方なく身に付けて馬の横に立たされた。
馬はジロリと自分を見たような気がして少しビクッとなった。
「どうぞ、乗ってみてください。
こっちの足をまず鐙に掛けて下さい。」
台を持ってこられて碧は言う通りに馬に跨がった。
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