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第19話

「なぁ希一、部活はどうよ?」 ベッドでスマホを弄っている陽介が不意に聞いてきた。 「どうって……楽しいよ。」 「ふ~ん…… いじめられたりとかしてない?」 「無いよ、皆優しいし。」 いつの間にか希一がΩだと学校中に広まってしまい好奇な目で見られているから心配だった。 だが陽介と希一、同じ部屋で同じクラス、そのお陰で一緒にいられるから今のところ何もされていない。 けれど部活は違う。 唯一離れているから何かされていても気づかない。 「本当に大丈夫なんだろうな?」 「本当だって。 陽介は意外に心配性だよね。 でもありがとう。」 そうにっこりと笑って大丈夫だと陽介に伝える。 それに陽介は苦笑して、ああこれは何かあっても何も言わなさそうだなぁと思う。 本当に今は部員の人とも打ち解けていて仲良くやっているのだが実際何かあっても黙って笑顔で耐えるタイプだ。 「何かあったらすぐ言えよ。」 何かあっても言わないと思うが、自分は味方だと分かって欲しいからあえてそう言った。 「うん、ありがとう陽介。」

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