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第75話
一方部屋から出された二人は廊下にいる
雫は壁に寄りかかるように立っていて
陽介は雫の隣でうずくまっていた
しばらく沈黙が続き先に口を開いたのは雫だった
「ねぇ君、希一様のフェロモンに当てられて
ずいぶん辛そうだけど大丈夫?」
「大丈夫です
すぐ治まります」
「そう?
しかし、βでそんなに当てられるものかな?」
「……どういう意味です?」
雫の言葉にぴくりと反応する
するとそれを見た彼はニヤリと笑みを浮かべた
「実はね、君のことを調べたんだよ
一応碧様に近づく怪しいものは
何者なのか知っておく必要があるからね」
「………っ‼」
「村瀬陽介、貴弘と言う父と
茉莉と言う双子の妹、二人ともαで
君もαだ」
「……っ‼」
衝撃的な陽介の事実を坦々と言葉にする雫に陽介は
心臓が大きく跳ねる
それとは対照的に雫は楽しそうに笑みを浮かべている
「君はどうしてβと偽っているのかな?」
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