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第80話

嘘が苦手な希一は隠し切れないと そうだよと告白した クラスのみんなは優しい 何かあれば助けてくれたしきっと 受け入れてくれるんじゃないかと思った それに父だって母を好きでいるのだからと…… でも 「マジか…… Ωってあれだろ? αに取り入ろうと惑わすんだろ?」 クラスメートの言葉に希一は凍り付いた 「そうそう、Ωは底辺の存在だから フェロモン出してαを呼び寄せて 番なんて上手いこと言ってるけどさ、それって結局 αに寄生しないと生きていけないんでしょ?」 「ははっ、それ寄生虫みてぇ 気持わるっ」 ぞっとした 皆の意識じゃΩはそういうイメージなのだと 違うよ、違う…… そうじゃないんだと言いたかった 母さんと父さんだってちゃんと愛し合ってる 母さんはαに取り入ろうなんて 考える人なんかじゃない!! そう言いたかったのに言えなかった 皆の自分を見る目が祖父母の目と重なって 怖くて言葉が出なかった それからだった 嫌がらせが始まった 物を隠されたり汚されたり 話しかけても無視されたり 小中一貫校で中学でも沢山友達がいたけれど 今まで仲良くしてくれた人は皆離れていった

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