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第84話
先生は希一を抱え保健室へと運んだ。
それから家に連絡したようですぐに棗が迎えに保健室にやって来てた。
「希一様………」
棗はこれ以上何を言ったらいいのか分からず、兎に角帰りましょうと希一の荷物を持ち、車へ乗り込んだ。
そのまま無言のまま家に着いた。
家に帰ると母が今にも泣きそうな顔で希一を抱き締めた。
そしてごめんねと何度も謝罪する。
「どうして母さんが謝るの?
俺がΩだから?
止めてよ、そんな言葉聞きたくない。
母さんまでΩを否定しないでよ」
思わずそんな責めるような言葉を言ってしまった。
こんなこと言うつもりなかったのに……
心がモヤモヤする。
苦しい……
「………ごめん希一。
そうだよね、ごめんね」
ここに居たくなくめ自分の部屋に逃げ込んだ。
ドアを閉めるとドアに寄りかかりながら座り込み泣きじゃくった。
倉庫で彼らに触られたところが気持ち悪くて、凄く怖くて自分が汚く感じてしまい、腕に爪を食い込ませて引っ掻いた。
それからどれくらいがたっただろう。
ドアがノックされた。
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