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第5話

派手な金髪を晒し、青のマフラーをワザと横になびかせるチャラい俺様系ヒーロー。その名はーー。 「ブルーさんだぁああ!!」 ブルーの登場に興奮を見せる神田だが、本来彼女はブルーのようなチャラい男は苦手である。 それでも彼に目を突ける理由。それがーー。 「会いたかったぜ、リザルド!」 「うわあぁあ……最高に最悪ですねぇ~~……」 そう。 ヒーローであるブルーは、悪の組織であるリザルドに好意を持っているからである。 「リアルホモ最高ですーー!!むしゃむしゃぁあ!!」 いつからブルーがリザルドに対して好意を持っていたか不明だが、この状況に腐女子の神田が萌えない訳が無く。再び望遠鏡を手にして覗き見を開始した。 「ブルーお前、俺を助けに来てくれたのか」 「なに言ってるんだヒーロー?俺様がここに来る理由なんて、リザルドに会うため以外なにがある?」 「下心で戦場に来てんじゃねぇ!」 ブルーの不埒な理由に説教を始めるヒーローだが、聞く耳持たずブルーはリザルドの方へ一直線に走り出す。 「リザルド!今日こそ俺様と付き合ってもらうぞ!」 「カエラセテ、イタダキマス」 「なんでだ!?会ってまだ一分も経ってないぞ!?」 先ほどまで狂気の笑みを浮かべていたリザルドが、ブルーが現れてから嘘のように真顔だ。喋り方もまるで電池が切れたロボットのようにカチカチである。 きっとリザルドは、今まで誰かに好意を向けられたことが無かったのだろう。 どう対処していいか分からない相手にただ戸惑いを見せるリザルドの姿は、神田にとって相当ツボだったらしく「尊い……」と呟きながら静かに興奮する。 「あぁ……あのですねぇ~~……オレは不可解で、不愉快な生き物は苦手なんですよ~~。だから近づかないでもらえますぅ??」 「不可解とならば、俺様の全てをリザルドに晒そう!」 「いや、そういう意味ではないんですがぁ……はぁ~~……ギルシャワ。帰りますよ」 「ぁっ、オイクソリザルド!!あんまり俺の身体にふれるっ、ひんっ!///」 発情するギルシャワを抱え、リザルドはブルーから逃げるように空へ飛びあがると、姿を消す前にポソリと呟く。 「はぁ……狂ってしまいそうだ……」 と。 「おひょ!!ちょ、それはどういう意味ですかぁ!??あれですか?毎回熱烈な告白されて、自分もなんだかそんな気になってきたんですかリザルド様!そのまま流されてブルーに押し倒されてほしーーい!!」 脈ありかもしれないと思われるリザルドの小さな独り言を聞き逃さなかった神田は、ブルー×リザルドの濡れ場を妄想しながらまた悶え苦しむ。 そんな変態が近くに潜んでいる事を知らないヒーローとブルーは、リザルド達が消えてからどこか張り詰めた空気を漂わせていた。 特にヒーローは、ブルーに対して気に食わぬ態度を露わにしている。 「ブルー。お前」 「はぁ~~あ。リザルドがいないなら帰るか」 「お前は何しにここに来たんだ」 「え?リザルドに会いに」 その瞬間、ヒーローの眉間に皺が寄る。 「アイツはだろ」 ヒーローが、悪に対して好意を持つのはオカシイ。 当たり前の事だと思って言ったヒーローの言葉に、ブルーは当たり前のように言葉を返した。 「関係ないだろ?」 悩む素振りも、悪い事をしているという罪悪感も見せないブルーに対し。ヒーローは目を見開いたまま固まってしまった。 そんなヒーローにブルーは問いただす。 「だってよ、悪だから好きになっちゃいけないのか?」 「え、いや……でもアイツは……男でもあるし」 「それも関係ない」 相手が男でも、敵でも、関係ない。それでも好きだと言うブルー。 その姿にヒーローは、どこか羨ましそうに見つめていた。 そして、自分の想いを確認するように胸に手を当てる。 ギルシャワに対する自分の想いを。 「じゃあなヒーロー!俺様みたいに正直に生きないと、一生女なんて出来ないぞーー!」 「うるさい!」 意地悪な笑みを向けたまま、ブルーはヒーローに手を振りながらその場から立ち去った。 「男でも、敵でも、関係ないか……」 一人になったヒーローを見て、神田は確信する。 「腐腐腐……フラグ立ちました。ありがとうございます」

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