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3 入社一年目4月。
入社初日。
あれ?あの人どうしたんだろ?
出口の改札前でカバンの中をゴソゴソと探る女性。
後ろには結構な列ができていて、かなり迷惑がられているようだ。
どうしたんですか?
そう声をかけてあげたかったけど、臆病者の俺にそんなことができるわけはなく…
ただただ見ているだけだった。
後ろの人から邪魔だと言われ、その女性は突き飛ばされた。
可哀想だけど、通勤ラッシュの時間にあれは確かに邪魔かな…
そう思っていると、一人のスラッとした男性が女性に近づく。
『大丈夫ですか?』
顔を見ると黒ぶちのメガネをかけていて、かなりの整った顔をしていた。
世に言うイケメンというやつだろうか…
俺もそこそこモテる方だが、あれはかなりの逸材だな…そう思っていると、女性が言う。
『あっ…大丈夫です。ちょっと定期失くしちゃって…』
『よかったら俺の使ってください。』
そう言って自分が改札を通った後に自分の持っていた電子切符を渡した。
『本当にありがとうございました。』
女性は感謝してもしきれないといったような表情でお礼を言っていた。
って、この一部始終を見ていた俺って…
ストーカーかよ。
明らかに男性に見惚れていた。
頭に浮かぶ変な考えをフルフルと首を横に振り吹き飛ばすと、会社に向かって歩き出す。
前を見るとさっきの男性が歩いていた。
足早っ!!
そんなことより彼がどこに行くのかということの方が気になりチラチラと見ながら歩く。
あっ…会社だ。
自分の勤務することになる会社が見えてきてしまい、彼の最終目的地を知ることができずガッカリしていると、まさかの方向に彼が歩き出す。
えっ!?
入って行ったのは俺が今から行こうとしているところで…
マジ?
同じ会社なの??
なんだか嬉しくなって、飛び跳ねるように出社したのだった。
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