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36 入社二年目12月。
『で、お前はどうなわけ?』
『俺ですか?なんかあったら天野さんに報告してますよ。』
『だよな。』
『はい。』
『でもお前最近死相出てるぞ?なんかあった?』
『えっ?』
『顔が死んでる。俺でよかったら聞くけど?』
『天野さーん。』
俺は泣きながら天野さんに抱きついた。
『どっちが慰めてんだか…』
そう言いながら頭を撫でてくれる。
本当、お兄ちゃんみたいだ。
『ほう。で、落ち込んでるわけ?』
『はい。』
俺は、急に小宮さんが研修に行くと言い出して、それは城田と二人きりになりたいからで、だから失恋したという話をした。
『で、今頃は二人でチュッチュしてると。』
『天野さーん。』
俺はさっきと同じように泣きながら抱きつこうとする。
『さっきの下りもういいから。』
軽くあしらわれてしまった。
『鬼。』
『誰が鬼だよ。天使だろ。』
『どこがですか。』
『お前な、本当のこと確認しないで勝手に決めて失恋するのやめろよ。』
『でも…』
『まぁ、俺も小宮さんが何をどう考えてんのかはわからんけどな。でも気持ちも伝えねぇままっていうのは…』
『ですよね…』
俺は、ハァ…と大きな溜息をついて机に伏せた。
今頃二人、何してんのかな…
想像するだけで気分が悪くなり、天野さんに助けを求めたのだった。
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