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39 入社二年目1月。

やってしまった。 かなり飲み過ぎた…。 しかも幹事なのに。 部長達は俺に片付けを押し付け二次会へと行ってしまった。 今年は俺ではなく、城田の腕をガッチリ掴んで。 もう二次会に参加するつもりはなく、一人でゆっくりと片付けていた。 やべ。ちょっと酔い回ってきたかも… 下を向きながら片付けをしていたこともあり、頭がグルグルと回り始める。 ちょっと休憩。 そう思い、壁にもたれながら座る。 『大丈夫か?』 その声が聞こえたと同時に、上を向きながら目を瞑っていた俺の瞼の上に冷たいおしぼりが乗せられる。 今の声って… そう考えるけど、酔いのせいで全然頭が回らない。 『片付け俺がしとくから。』 『あっ…すみません…』 誰だかわからないけど、お願いしておこう。 とても気持ちがいいおしぼりをグッと目に押し当て、俺はいつの間にか眠ってしまっていた。 『山崎!!山崎!!』 そう呼ばれてハッと目が覚める。 『あっ!!片付け!!』 そう言いながら立ち上がると、目の上にあったおしぼりがひらりと落ち、目の前には小宮さんが座っていた。 『小宮…さん…』 えらい失態をさらしてしまった。 俺は呆然と立ち尽くす。 『大丈夫か?帰れる?』 『はい!!それよりも片付け!!』 そう言いながら周りを見渡すと綺麗さっぱり片付いていて、従業員さんも帰る準備をしていた。 『すみません、そろそろ…』 従業員さんにそう言われ、俺たち二人は外に出た。 『へっくしょん!!!』 酔いが冷めたからかすごく寒くて大きなクシャミをしてしまった。 『大丈夫か?』 『はい…』 こうやって寒い中を2人で歩くのはどれくらいぶりだろうか… あの研修からだと一年は経つ。 この一年、俺は何をしていたんだろう… 自分の気持ちを伝えることもせず、片思いを続けて… でも気持ちを伝えてどうなる? フラレて終わりだろ? だったらこのまま先輩と後輩の仲でいいじゃないか。 頭の中でそう考える。 諦めない。 天野さんとはそう約束したけれど、フラレてギクシャクするのはごめんだ。

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