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40 入社二年目1月。
『山崎。』
『はい!!』
色々と考えながら歩いていたので、急に呼ばれて驚いた。
『電車ないけど…どうする?』
『えっ…』
寝ていたせいもあり時間の感覚なんて全然なかった。
居酒屋が閉まるまでいたってことは相当な時間だな。
腕時計を見る。
『2時…』
『今の時間知らなかったのかよ。』
そう言いながら小宮さんが笑う。
やっぱりこの笑顔好きだな…
『野宿はキツイよな…時期的に。』
『確実に死にますよね。』
『じゃぁ、ホテル…行く?』
『なっ!?』
あまりの衝撃に言葉に詰まってしまった。
『待て待て。そういう意味じゃなくて、ビジネスな。ビジネスホテル。』
『ですよね…。』
ハハハと笑いながら自分のアホさ加減に恥ずかしくなる。
俺は何考えてんだよ…全く。
暫く歩くとビジネスホテルが見えてきた。
明日も休みだしゆっくりできるな…なんて軽く考えながらフロントに向かう。
『あの、シングルを二部屋お願いしたいんですけど。』
『少々お待ちください。』
フロントの女性が空き状況を調べる。
『お待たせ致しました。申し訳ございません。生憎ですが、シングルが一部屋しか空いておりません。』
『じゃぁシングルとダブル一部屋ずつとか。』
『申し訳ございません。今はこの一部屋しか空いておりません。』
………。
この場合どうすればいいのでしょうか。
『小宮さん…今、シングルの空きが一つしかないみたいなんですよ。』
『えっ?他も空いてないって?』
『はい。ダブルも聞いたんですけど、この部屋だけだって言われました。』
うーん。と小宮さんが悩み始める。
『他、探しますか?』
『いや、ここにしよう。』
『えっ?』
『俺は一緒の部屋でもいいけど、ダメ?』
神様、俺は死にます。さようなら…。
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