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57 入社三年目4月。小宮side
そろそろ城田に報告しとかないとマズイか…
そんなことを考えながら城田を探す。
あの日、山崎に気持ちを伝えると、自分も好きだと言ってくれた。
本当に嬉しくて泣きそうになった。
こんなにも人を好きになったことがあっただろうか?
今まで付き合った女性にさえ妬かなかったヤキモチを妬き、いつどんな時でも山崎は俺の頭の中にいた。
気付いた時にはもう好きで、自分が男に好意を抱いているということに最初は戸惑ったが、そんなことどうでもよくなるぐらいに山崎が好きだった。
こんなにハードルが高い恋愛初めてだ。
なのにうまくいくなんて…
俺、幸せすぎて…少し怖い。
『城田。』
『なんですか?』
怒ってる?なんとも機嫌の悪そうな城田を呼び出した。
『あのな…』
『何を言おうとしてるのかわかってますよ。付き合ったんでしょ?山崎さんと。』
『なんで知って…』
『二人見てたらわかりますよ。アイコンタクトなんかしちゃってイチャイチャイチャイチャ…気分が悪いです。』
『…』
あまりの毒舌で俺は言葉に詰まる。
『言っときますけど、僕は諦める気なんてサラサラありませんからね。これは山崎さんにも言ってあります。』
『って、お前…』
『そうですよ。僕、山崎さんに告白してフラレたんです。』
この堂々とした感じ…
ちょっと尊敬する。
『山崎はなんて…』
『それは僕と山崎さんの秘密です。それより、油断してると僕が取っちゃいますからね。山崎さんのこと。』
そう言って頭を下げると城田は歩いて行ってしまった。
俺にもあれぐらい勇気があれば…
もっと早くに気持ちを伝えられていたんだろうか。
俺はぼんやりと外を眺めながらこの先のことを考えたのだった。
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