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70 入社三年目10月。
『先輩。』
『ん?』
休憩所にいる俺に城田が話しかけてきた。
『今更なんですけど、一つ聞いてもいいですか?』
『どした?』
『先輩が付けてるそのタイピンって、もしかして小宮さんからもらったんですか?』
『えっ!?』
てっきり仕事の話だと思っていた俺はイキナリの質問にビックリしてしまった。
『違うんですか?』
『そ、そうだけど…』
『ふぅ〜ん。』
『なんだよ…。』
『じゃぁ、それが外された時が狙い目ってことですね。』
『はぁ?』
『外した時=別れたってことで。』
なるほど…
って、感心してる場合じゃねぇ!!
『は、外さないよ。』
なんか別れませんって言ってるみたいで恥ずかしいな…。
『そうですか。まぁ僕はいつまでも諦めませんから、小宮さんに飽きたら声かけてください。』
そう言って城田は歩いて行ってしまった。
最近やたらとグイグイ来る城田にビビっている。
アイツ顔に似合わず本当強いな…
と、ちょっと羨ましかったりもする。
『山崎。』
『はい!!』
色々と考えていると休憩所に来た小宮さんに話しかけられてビックリした。
『なんだよ。声がでかくて、こっちがビックリするし。』
そう言って笑っている。
『すみません。』
『今なんか城田に言われた?』
『えっ?あぁ…タイピンのことを少々…』
『なんだって?』
『そのタイピンが外れたら小宮さんと別れた時だなって…』
うーん…と顎に手を置き小宮さんが何か考えている。
俺はなんだろう?と思い首を傾げた。
すると耳元でそっと囁かれた。
『俺はずっと別れる気なんてないけど、山崎は?』
俺はカッと耳まで真っ赤になるのがわかった。
返事は?というように小首を傾げる小宮さんに俺もです!!と無言で大きく頷いた。
『じゃぁ、心配ねぇな。』
そう言って頭を撫でると事務所に戻ってしまった。
小宮さんに触れられた部分が熱い。
俺の心臓はドキドキと鳴り止まなくて…
俺、本当に小宮さんのこと大好きだ
そう思ったのだった。
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