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71 入社三年目10月。
『お前なぁ…』
『だって…』
天野さんと二人で飲みながら説教を受ける。
内容は、仕事のことではなく…例のことだ。
『しかしまぁ小宮さんもよく我慢できるな。』
『…』
6月に初めてお泊りした日にそういう雰囲気になったのにできなかったということを話したら怒られ始めたわけで…
『それから二人で会ってねぇの?』
『いや、会ったりはしてますけどね。』
お泊りはないが、二人でご飯に行ったり飲みに行ったりはちょこちょこしている。
でも公共の場ということもありそういうことは一切なくて…
『お前、呆れられてんじゃねぇの?』
『えっ?』
『男同士の場合はわかんねぇけどさ、普通男だったら好きな人前にしたら触れたいとか、キスしたいとか思うだろ?』
『確かに…』
『お前は思わねぇの?』
『思いますけど…』
『けど?』
『そういう雰囲気になるのが怖いというか…』
『お前本当女子かよ。』
『天野さん…俺、本当どうしたらいいですかね?』
『うーん。小宮さんはお前が怖がってるのわかってるから手出さないのかな?だったら…』
『だったら?』
『お前から誘え。』
『えぇっ!?む、無理ですよ!!!』
『だよな?童貞だもんな?誘い方わかんねぇよな?』
『ボロクソ言いますね…』
『本当のことだろ?でもな、そうしないと先に進まんだろ?』
『う…』
『まぁ、頑張れ。』
それだけ言われ肩を叩かれた。
確かに付き合って半年、キスだけっていうのもな…
今時高校生でもヤッてるよ…。
自分の情けなさに落胆した。
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