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139 入社四年目3月。

『あれ?上手く結べないな…』 ブーケを高いところに吊るす前にブーケ自体に紐を結ばなくてはいけなくて… でもそれが上手くいかなくて手こずっていた。 『貸して。』 小宮さんにそう言われブーケと紐を渡す。 『なぁ、俺もそこで休み取るからどこか行こうか。』 『えっ!?一緒の日取れるんですか!?』 『うーん。なんとかする。』 『どこ行きますか?』 『海外がいいな。』 『海外ですか!?でもいいですねぇ。旅行か…楽しみだな。』 『旅行って言っても普通の旅行じゃなくて…』 『えっ?』 『新婚旅行。』 『えっ!?』 『山崎の誕生日、向こうで籍でも入れるか…』 ボソリと呟く小宮さんに驚きながら状況が把握できないでいる。 『よし!!』 急に床に片膝をつく小宮さん。 なに?そう思っていると… 『山崎智さん…俺と結婚してください。』 小宮さんがそう言いながら、手に持っていたブーケを差し出した。 ドキドキとうるさい心臓。 何がなんだか急すぎてわからないけど、今俺は小宮さんにプロポーズされていて… 状況が把握できてくるとグッと何かが込み上げてくる。 そして自然に涙が零れて… 『はい…』 そう言って俺はそのブーケを受け取ったのだった。 end

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