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138 入社四年目3月。

『ん…?』 眠い目を擦りながら起き上がり、隣を見ると小宮さんの姿はなかった。 寝室を出るとキッチンに立っている小宮さんを見つけた。 『おはよう。』 『おはようございます。』 『昨日は楽しかった?』 『すごく楽しかったです!!』 『それはよかったな。飯できてるよ。』 そう言いながら朝ご飯を机に準備してくれて、一緒に食べる。 『ありがとうございます。いただきます。』 一緒に住むようになって朝ご飯を食べるようになった。 元々一人だった時は朝ご飯を食べる時間もなかったし、コーヒーだけで済ませていたけど、今は小宮さんが作ってくれるので自然と食べるようになった。 それがまた美味しくて… 『あぁ…今日の玉子焼きも絶品!!』 小宮さんの作る玉子焼きは本当に美味しい。 『今度作り方教えてやるよ。』 『はい!!』 『隼人くん?だっけ?幸せそうだった?』 『幸せそうもなにも!!!結婚式ってすごいですね!!もうみんなの笑顔が溢れ返っているというか…幸せオーラがハンパないというか…一緒にその場にいるだけで俺も幸せな気分になりました!!』 『だろ?俺はその雰囲気が好きなんだよ。』 『俺も好きになりました!!あっ!!そうだ…』 ごちそうさまでした。と手を合わせ、食器を片付け玄関に向かう。 『ん?』 不思議そうな小宮さんにジャーン!!と見せる。 『ブーケ?』 『そうなんですよ。ブーケトスの時、周りで見てた俺にたまたまブーケが落ちてきて…気付いたら手の中にスポッと。』 『えぇっ!?すごいな。』 『すごいでしょ?でもね、その後の女性陣の殺意湧きまくりの目はすごく怖かったですよ…』 『あ…なんか想像できるわ…』 そう言いながら小宮さんが苦笑いしている。 『なんかひっくり返して吊るしておくと綺麗なドライフラワーができるみたいなんで…』 そう言いながら紐を探す。 『なぁ、山崎。』 『はい。』 『有給いつ取ることにした?』 『あぁ…3月中ですもんね。頭はもうダメだから、誕生日前後で一週間ぐらいですかね。どうせだったら誕生日休暇的な感じで休もうかと…』 『なるほど…』 そう言いながら押し黙る小宮さんを気にしながらも紐を探し出しブーケを吊るそうと吊るす場所を探した。

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