10 / 32
親知らず 10
全ての灯りを落としたので、寝室は暗闇に近い。
その中で東城は広瀬の身体に触れた。
部屋を暗くしてお互いの顔がみえなくなると、広瀬は大胆になる。いつもは嫌がる体位にも応じてくれる。
足を大きく開いて誘うことだってしてくる。
東城の身体を積極的に愛撫したりもする。手を身体を使って触れたりなでたりしてくるとくすぐったいが、それなりに気持ちはいいし、愛されているという感じはする。
普段はそっけない広瀬が、自分の身体は好きと思ってくれているんだなというのはわかる。そんなやさしい、もどかしいくらいにしみじみとした手つきなのだ。
さらに、東城の中心に手を伸ばし、こすって育てながら広瀬自身の腰を揺らしている。本当に自分を欲しそうにしてくれるのでうれしくなる。
顔をみたいな、と思う。どんな顔だろう。透明な目が欲深い色になっているといいのに。
だが、灯りをつけたらその顔は見られないだろう。こんなに何度も行為を重ねているのに、まだ、広瀬は羞恥を示すときがある。
彼の少し赤くなった顔や耐えた表情は、それはそれで刺激的ではある。だが、今は、彼の顔を想像で楽しむだけだ。
ともだちにシェアしよう!