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報復の結末 2(完結)

 俺が雇った男たちに剥かれたシャツの破片で懸命に肌を隠し、肩を丸めて小さくなっているアンタを白いシーツの上へと組み敷いた。  高窓から覗く月明かりだけのこの部屋で、それでもキメの細かいのが分かるような肌の質感が喉を疼かせる。  怯える身体の上へと覆い被さり、すっぽりとその全身を抱き包めば、俺は何とも例えようのない程の奇妙な欲情に、武者震いのようなものが湧き起こるのを感じていた。  ああ、綺麗だぜ帝斗――  恐怖におののくアンタの瞳は、いつもの高飛車なソレとはまた一味違った趣がある。  次第に自分の吐息が荒く乱れてくるのを感じながら、俺は念願だった白い胸元へと顔を埋めてみた。  ぷっくりと吸い付くように弧を描く胸板の中心の突起物、男のわりには薄くて綺麗な色合いのソレは、視覚だけで高みへと到達してしまいそうな程に俺を興奮させる。  たまらなくなって舌先で突付けば、『ああ……っ!』と、大袈裟なくらいの悲鳴をあげながら腰元を捩った仕草を見て、俺の身体の熱は更に興奮させられた。  既に硬く張り詰めた分身を彼の同じモノに擦り付けては、その度合いを知らしめてやる。  だが、輪姦まがいの目に遭った直後じゃその気にはなれないのか、彼のものは勢いがなく、どちらかといったら全く反応じてはいないようだった。  だけどいいよ。すぐに興奮させてあげるから。  俺の愛撫で、あいつらにされた恐怖なんかすぐに拭い去ってあげるよ。  愛してるぜ帝斗――  あんたは俺のものだよ。  もう二度と誰にも触らせない。  もう二度と俺のもとから離さないよ。 「……っそ、たまんねえ、帝斗……! 帝斗っ……」  我ながら狂気じみていると思えなくもなかった。  自分でもコントロールのきかない何かが、身体の奥底でくすぶり出しているのをはっきりと感じていた。  その狂気に誘われるままに、俺は目の前の薄桃色の乳首を口に含んでは、むしゃぶり乱暴に舐め回した。そして首筋を唇でなぞり、ついばみ、耳たぶには軽く歯を立てて――  この小さな穴は何だい?  ああ、そうか、ピアスの穴だね?  さっきの男たちに乱暴された時に外れてしまったのかも知れないね?  だったらいいよ、すぐにもっと素敵なのを買ってあげるから。  今までのピアスなんかより、もっと素敵な、アナタに似合う極上の宝石をプレゼントするよ……!  好きだよ帝斗。どこにもやらない。  アナタは俺のものだよ――!  全身をくまなく愛撫して、  もうアナタからは俺の唾液のニオイしかしない程に抱き締めて、  それでもまだ肩を丸めて小さくうずくまるようにしている姿も哀れでソソられるよ。  まださっきの恐怖が拭いきれないのかい?  そのせいかな、とっくに濡れていてもいいはずの大事なトコロも今日は乾いたままだね?  でも大丈夫。これ以上怖い目になんか遭わせないから。 「帝斗……平気だよ。ゼリー(潤滑剤)をたっぷり塗ってあげるから。痛くなんかないよ?」  吐息とも声ともつかない興奮した言葉を吹きかけて、帝斗の耳元にしつこくしつこく、繰り返した。  何度も何度も、繰り返した。  そう、アナタに痛い思いなんかさせはしない……。  だからいつまでも怯えていないでそろそろ素直になりなよ。  素直になってアナタも俺のことを求めているんだって言ってくれ。  俺のコレが欲しいって、  俺のすべてを愛しているんだって、  言えよ、云え――――!  この時の俺は明らかにおかしかっただろう。  傍からみれば狂っていると思われても仕方がない程に、興奮して乱れていたのは確かだ。  この世で一番憎かった男に対する、これが報復の結末だというのならそれも悪くはない。  だってこんなにも甘やかで、艶かしくて心地のいい気持ちになったのは初めてだから――  俺の中にはもう彼に対する憎しみなんてものは存在しない。  在るのは心底愛しいと思う唯一人の男性(ヒト)を請い求める気持ちだけだ。 ◇    ◇    ◇  放心したような彼を腕の中に閉じ込めて、そのすべてを愛しむように抱き締め、口づけた。  あんたが手に入るのなら、報復なんてもうどうだっていい―― - FIN -

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