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第49話

「チッ」 寄りかかって眠りこける相手に次にはため息が出た。取り敢えず揺さぶってみたが起きる気配はない。乱れたこの格好では昂科たちを呼ぶこともできない。 「はぁ、マジ最悪」 なんでこいつとヤッてたんだっけ?思い出せそうになく、考えるのを止めた。 「どっちに連れてくかな…」 ここから生徒会の寮とある場所との距離を頭の中で辿りこっちだな。結論は直ぐに出た。 軽くボタンを留め自分の身嗜みもある程度整え、はぁと何度目か分からないため息を吐きながら机を戻す。 なんで俺が後処理しないといけねぇんだよ。面倒くせぇ。 だがこのままにしてはおけないし俺だとバレたらそれこそ面倒くさいことは目に見える。 「はぁ…」 幸いなのは、時間が時間の為にこの状況を見ている者がいないと言う事だ。 「俺が誰か背負うとか。間抜けすぎて笑えねぇ」 暗い廊下を歩き突き当りのドアを開け中に入る。立ち入り禁止のこの奥は明かりの灯る歩きやすい階段で、しかし背中の重りに普段は何ともない上りも今は少しきつく感じる。 一つ上の階に来ると左右にドアがあり、左は教室に、もう一つは鍵がかかっていて入ることは出来ない。 正確に言うと、鍵を持っている俺以外は。 ここは、前任から受け継いだ生徒会長だけが使える安息の地。基、隠し部屋。とは言え、ちゃんと窓はあるしシャワールームも簡易キッチンもベッドもある。 生徒会の寮よりは幾ばくか狭いが窮屈に感じたこともない。寝るには丁度いい広さに作られているし、鍵も俺が会長になった時に替えて貰ったので前任も入ることは出来ない。 生徒会のメンバーも知らないこの部屋だ。 いや、だった。過去形だ。 「俺、なにしてんだろ」 今は俺のベッドに横たわるそいつを見て、いくら近いからと言ってここに連れて来たことを自分で不思議に思った。 それこそ、起きるまで何かしら出来ただろうに。 「まあいいや。デリバリー呼ぼ」 毎回何事もなくここに運ばれるデリバリーに誰も知らないが彼らは場所を知っているよな?とどうでもいいことを考えていた。 料理が届くまでの間にシャワー浴びるか。足をそっちに向かわせる。

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