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第50話
体が勝手に揺れて、腕が痛い。声も掛けられるプラス突発的な強い揺れに地震!?と飛び起きて後悔した。
「ぃっ!!」
全身筋肉痛みたいに痛いし喉はパサパサ声も碌に出そうにない。
「おら、水」
「ありがとう、ございま…」
ボトルを受け取りながら相手を見つけ、また後悔した。
なんで、会長さん…?
ぼんやりしていた思考は一気にクリアになって、思い出してしまった。眠る前のあの事態を。痴態を。
「飲んだら取り敢えず風呂行け」
「え、あ、はい」
言われるがままに痛む体を引きずって歩き、なんとかお風呂に浸かった。温まると痛みも少し和らいで、普通に歩けそうだなって安心した。
「あの、お風呂ありがとうございました」
「ん。これ着てろ」
「あ、ありがとうございます」
柔らかい生地の服は着心地抜群で、このメーカーの服、俺も欲しい!とタグを探したけどどこにもなかった。
そのうちになにしてんだと尋ねられ、この服どこのですか?聞き返す。
直ぐに答えは返って来て「ここのブランド」と雑誌を渡された。
「ひぇ!お高いお店っ」
「そんなじゃねぇよ。ここよりたけぇ店なんてもっとある」
「マジすか」
「おー、マジだ」
俺、なんで会長さんと普通に会話してんだろう。同時に、なんで普通に返事してくんの?と言う疑問も。
「飯、食う?」
「え、あ、はい。いただきます」
指差す方を見ればソファと低いテーブルがあって、何故か料理が並んでた。
会長さんが作ったとか?いやいや、それはないな。
瞬時に否定する。
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