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第10話
「あっ、だめ、あっ、ん、んっ」
やっぱ人肌っていい、安心する。
それと同時に普段感じていなかった寂しさも溢れてくる。投げ出した自分の掌が揺れる視界に入った。
これ以上何を求めるっていうんだ。
窮屈なソファーの上で二つ折りになる無理な体勢にアキくんとの距離が近くなる。
気持ちいいのかな、目元が赤くて可愛い、真顔もイケメン、長めの髪が鬱陶しそう。
腕を伸して、彼の顔に当たるそれを耳に掛けてみる。
うん、顔を出した方がカッコイイ。前髪も上げたら似合うんじゃないかな。
「んっ、ふあ、あっ、ん」
「ケンジさん、もうイきそうなの?」
「ん、ん、でちゃいそ、あっ、だめ、やっ……!」
「擦ってあげる」
彼の長い指が僕の張り詰めた性器を何度も擦って先端を掌で円を描くように撫で回して、漏れる声も我慢出来ない。
「あ、だめ、あっあぁん、やっあ、あっ!あっ、あっ...、は、あん、や、だっ、て……!」
「嫌じゃないでしょ」
「イっちゃ、あっ、」
「イっていいよ、……イきなよ」
先端から数回に分けて震えながら吐き出した自分ものが腹を伝って流れていく。
「アキくん、は」
「手伝ってくれる?」
向かい合って座って、眉を潜めて耐えている様子のアキくんの性器に指を絡めて数回擦ってみる。
「上手だね」
こめかみに唇を当てて囁かれ、なんだかむず痒い。迷わずソファーから降りてそそり立つソコを口に含む。こんなの久し振り過ぎて勝手が分からない。一度離して再度含んで彼を見上げると、ごめんね、と謝られて喉に届きそうなくらい奥まで突っ込まれた。
苦しいけど気持ちイイ。
根元を支えて溢れる唾液の水音が僕をまた熱くする。
「すぐ、……だからっ、我慢、ね?」
「……ん」
切羽詰まった言い方にきゅんときた。
※
視界がゆらゆら揺れる。
とっても良い夢見たなあ。
「そんなに良い夢、見たんですか」
あんなエロいやつはご無沙汰だねえ。今更僕に好きな人が出来た所でどうこうしようっていうやる気も無かったし、況してやそういう事はもう縁が無いと思っていたし、性欲も衰えていく一方だ...…し?
「あれ?」
頭を上げると至近距離にアキくんがいて、いつもの笑顔で僕をうつ伏せに覗き込んでいた。
「今の、寝惚けてたの?」
寝惚けたケンジさんも超可愛い、と笑われるも僕はこの状況が飲み込めていない。
「え、どこからどこまでが夢?!」
飛び起きてみれば、自分のベッドの上。に、アキくんも何故か隣に転がっている。
「全部現実なんじゃないですか」
嘘だろ。
「良かった、マルっと忘れられてなくて」
仰向けになったアキくんを横目に、顔をベッドに押し付けた。
記憶は確かに、ある。
あれが夢じゃないとすれば、僕は完全にやらかしちゃっているんじゃないだろうか。
「大丈夫、俺ケンジさんのこと好きだし」
「え」
突然僕に背を向けてモゴモゴする彼に、こっちまで落ち着かない。
「えっと、」
「いや……いいんです」
あれ?今告られたよね?この流れで僕も告ったほうがいい...かな、え、告るって何、僕アキくんと付き合っちゃうのか?!
しん、と静まり返った部屋に響きそうなくらい心臓が煩い。
恋なんて、もうすることは無いと思っていたのに。
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