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まるで飢えた狼
指を三本まで増やした頃、ようやく創の呼吸が落ち着いて声に甘さが混じってきた。
入り口も柔らかくなって、もうそろそろオレも限界。
「創…もう、へーき?」
「ん、早くちょうだい?」
両手を広げてオレを抱き寄せる創が、孔を解しているオレの指を引き抜いた。
首の後ろに回された手のひらで、髪をくるくると指に巻き付けてじっとこちらを見上げてくる。
あー可愛い。
優しくしたいのに、めちゃくちゃに乱してやりたい。
オレを求めて求めて、離れられないくらい求めてほしい。
「創の全部、オレのだよな?」
「うん、継もね?」
ソファに乗り上げて、創の膝をぐっと持ち上げる。
「足、持って」
「ん…継、あのね、」
「創、大好き」
ちゅっと唇に吸い付くと、嬉しそうに笑ってくれる。
その笑顔がオレだけのものだって、今から実感できるんだ。
「挿れんな?」
「うん…」
ぐち、と先端部分を押し付けて入り口を拡げた。少し入っただけでも中の狭さがわかる。
ここで躊躇したら創が辛いだけ。
「はっ、んああッ、ーーーーっ!!」
「きっつ…息、ゆっくり吸って」
どうせ痛いなら一瞬にしてあげたい。一気に奥まで入ったところでぎゅっと抱きしめて、創が落ち着くのを待った。
十分柔らかくなるまで解したから、切れる事はないと思う。きっと今は異物感と圧迫感でいっぱいなはず。だから今は無理して動かずに、そこが馴染むまで髪を撫でたりちゅーしたりして、少しでも創の気を逸らしてあげたい。
今創を苦しめてるのがオレなんだと思うと、なんかすげえ申し訳ない。創が欲しくて欲しくて仕方ないのに、辛い思いをさせてしまう自分がイヤだ。
「はっ、ぁっ、…」
「ごめん、痛いよな…」
はふはふと乱れた呼吸がだんだん落ち着いてきて、きつく閉じられていた瞼がうっすらと開き、そこに揺らぐ自分が映る。伝い落ちる雫を舐め取り、じっと見つめた。
汗で貼り付いた前髪を払ってやると、ふわりと微笑んでくれる。
「継…もう、大丈夫だから、そんな顔、しないで?」
「創…」
まだ辛いはずなのに、オレにそんな言葉をかけてくれて。
「創…好き、ほんと好き、愛してる。大好き。離したくない。愛してる」
「ん、わかってるよ…大丈夫、おれも同じ。好きだよ、継。大好き。でも継よりおれの方がいっぱい愛してる」
「負けねえから」
啄ばむように唇を何度も重ね合わせて。
手のひらも重ねて、指を絡めて。
幸せそうなこの笑顔を独り占めするんだ。
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