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それでも最期は君の傍で

ダイスケが出掛ける支度をしてる間に、ヨシミさんとアドレス交換をしてあの画像をもらった。昨夜、こんなふうにしっかりと抱きしめて眠っていたらしい。 ああ、だからあんなに幸せな目覚めだったのか。 「おっけ。んじゃ行くか」 うっとりと画像を眺めていたが、その声で現実に引き戻される。ああ、やっぱり実物の方が可愛いな。 後ろを振り返ると、オレンジ色のワンショルダーバッグを掛けたダイスケ。黒いキャップをかぶって、ドアの前でオレを待っていてくれる。 「行ってらっしゃーい!」 ひらひらと手を振って玄関まで見送ってくれたヨシミさんに行ってきます、と告げて、ダイスケと二人で外に出た。まだ午前中だというのに、もう日が高く上がっていて、むわっとした空気が肌を包み込む。 ああ、もう夏か。 もうすぐ始まる夏休みが終われば、その時は。 ふと先に歩き出したダイスケが立ち止まり、オレもその隣に並んだ。 「あの空の色、お前の瞳の色みたいだ」 その視線を追いかけて空を見上げてみると、白い雲とのコントラストが綺麗な青空が広がっていた。 ずっと一緒にいられたら、とは思わないわけじゃない。けれど、現実に別れはやってくるから。それならせめて、この空がオレを思い出すきっかけになってくれればいい。 その日が来るまでは、ダイスケの傍に…

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