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どっかに飛び跳ねてしまいそうで
「Wow,Japanese-style meal!」
「あー、うち朝は和食だった。平気か?」
「こんなに本格的なのは初めてだ!」
リビングに向かうと、そこは良い香りで満たされていた。テーブルの上には、前にテレビで見たような日本食がずらりと並んでいる。
ソウも作ってくれたけれど、ここまで本格的なものではなかった。
「おはよう、ジャスティンくん。和食だけど、食べれないものは無いかしら?」
「大丈夫です!ああ、夢みたいだ!」
「大袈裟なんだよお前は…」
横に座ったダイスケがため息をついてこちらを見上げてくる。ヨシミさん(こう呼んでほしいそうだ)が茶碗にライスと味噌スープを入れてくれて、それを受け取り席に着いた。
いただきます、と手のひらを合わせるダイスケに倣って、同じように手のひらを合わせて箸を持つ。だいぶ慣れたが、でもやっぱり難しい。
「はは、お前にも苦手なもんとかあるんだな」
「まあ、それなりに…」
ああ、こんな恥ずかしいところは出来れば見せたくなかった。
丸くてヌルヌルした里芋というものに悪戦苦闘していると、横からすっとそれを皿に移してくれる。
「ほい。母さんの煮物は超美味いぞ」
ニッと笑ってその皿を手渡されて、慎重に箸を持つ。
よし、今度こそ。
「ふふ、ジャスティンくん。日本のテーブルマナーでは、里芋はフォークみたいに刺していいのよ?」
「え、そうなんですか??」
なんだ、それならオレの勝ちだなサトイモ。
言われた通り箸の先端を刺して口に運ぶ。ねばねば?もさもさ?口の中でなんだか変な具合に形を変えて、どう表現したらいいのかは分からないけれど。
「美味いだろ?」
「ああ、とても。ヨシミさん、美味しいです」
「本当??いやーん、ありがとうっ!」
嬉しそうに笑うその目元は、ダイスケにそっくりだ。
あれもこれもと皿に盛ってくれた。いや、こんなに食べきれないけれど…
「あ、そうそう。ジャスティンくんにとっておきのプレゼントがあるのよ」
ぽん、と手のひらを打って、テーブルに置いていた携帯を操作する。すぐにこちらへやって来て、その画面を見せてくれた。
その表示されていた画像を見て、オレの心臓が飛び跳ねた。
「ほら、昨夜のあなた達よ。可愛いなあと思って激写しちゃった」
その携帯をすぐにダイスケが取り上げようと手を出してきたけれど、それよりも一瞬早くヨシミさんがエプロンのポケットにしまった。
ダイスケがものすごく喚いている。
後でアドレス交換して送信してもらおう…!
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