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一瞬でも目を離したくない

【ジャスティンside】 とりあえず必要なものは全て揃った。レジに向かい会計を済ませると、今まですぐ傍にいたはずの姿が見えない。 慌てて紙袋を受け取り店員に礼を言うと、そのまま店の入り口付近まで走る。 「くそっ…」 辺りを見回してみると、吹き抜け部分のガラスから下を見下ろしている人が目に留まった。見覚えのあるオレンジ色のワンショルダーの掛かった背中と、黒のキャップ。 後ろから近付いて、コツンと後頭部を叩く。 「ってぇ!」 「いきなりいなくなったら焦るだろ…」 「あー、うん、わり…」 さらりとした髪を撫でて、そのまま抱きしめた。 「なっ⁉︎おまっ、ちょ…」 「オレを心配させた罰。安心したから10秒このままいさせて…」 たった一瞬でも、目を離したくないから。

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