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この溢れるとめどない想い

ダイスケが腕の中でおとなしくしてくれてる。珍しい。 ふと顔を上げたダイスケが、あれ!と指差す。 「あそこ行きたい」 「オーケー、行こう」 指差したのは、吹き抜けを挟んで向かい側、ワンフロア下。 今いるのはフロアの端のあたりで、エスカレーターまでは少し距離がある。かといってエレベーターも今扉が閉まったばかりだ。 エレベーターの横にある階段をゆっくりと下る。 不意に隣を歩くダイスケが立ち止まり、一段上からシャツを引っ張ってきた。 「………ッ!」 それは一瞬だったけれど、確かに唇に感じた熱。 耳まで真っ赤に染めながらも、無言のまま階段を降りようとするダイスケの体を引き寄せて、再び唇を重ねた。 この溢れる想いは、どうしたらもっと伝わってくれるのだろうか。

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