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ぜんぶぜんぶ、愛情表現。
【継side】
期末テスト直前だけど、今日は創の月一で行くピアノレッスンの日。オレも昔は一緒に習ってたけど、中学入ってバスケやるようになってからはレッスンは受けてない。
ばあちゃん先生に顔見せに行くっていう口実をつけて、いつも創と一緒に行って、ピアノに向かう創の後ろ姿を見ながら筋トレする。最高のBGMを聴きながらの筋トレ、普通じゃなかなか出来ないしな。
二人並んで歩道を歩く。もちろんオレが車道側。そんなの当然だろ?
「なあ、今日アレ弾いて」
「うん、でももうちょっと直したいとこあるんだけどな…」
「ああ、あそこだろ?」
創は最近では作曲にハマってるらしく、今作ってるのがすごくいい曲で、創らしさが出てると思う。ふわふわでほわほわで、でもしっかりした標題があって。
これはまだばあちゃんに譜面を見せてないから、今日初めて聴かせる曲。オレもちょっとドキドキする。
「あれさ、ちょいフォルテ気味にして音域広げてみるとかは?」
「……うん、いいかもね。ありがとう」
にっこりと笑って頷く創の髪を撫でた。可愛いなマジで。
創の右手とオレの左手を繋ぐ。きゅ、と力を込めれば、同じように握り返してくれた。
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