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【番外編】はじめてのおつかい

「けえ、うしさんのおにく!」 「ちがうぞ、にあとりだぞ!」 継くん、ニワトリって言えなくてニアトリになってます。 二人でカゴの持ち手を一本ずつ持って、にあとりのお肉を入れました。 これでお買い物は完了。レジでお金を払います。 「二人で来たの?」 「うん!」 「オレとそおだけっ!」 レジのお姉さん、袋を二つに分けてくれました。 お兄ちゃんの創くんは卵、弟の継くんは牛乳と鶏肉。継くんの方がちょっとだけ力持ちなんです。 ご機嫌な二人は、お姉さんに手を振って歩き出します。もうお姉さんはメロメロです。 「けえ、くるま!」 「うわあ、あぶなーい!」 「ほら、こっちおいで?」 さっきと同じやり取りです。創くんは、お母さんが二人を車道側にならないようにしてるの、ちゃんと知ってるんです。 小さな腕にビニール袋を下げて、二人はぎゅっと手を繋いで歩きます。どこに行くにも、こうして手を繋いでるんです。 一歩ずつ足を前に出して、大人の足で3分ほどの距離を、二人は仲良く並んで歩きました。知らないお姉さんに手を振るのは継くん。物怖じしない子なんです。 「けえ、ふたりでおかいもの、たのしいね!」 「そおがいるといっぱいたのしい!」 にこにこしながら歩いてるうちに、やっと帰ってきました。玄関の前にはお母さん。 「あっ、おかあさーん!」 「からあげー!」 お母さんのもとに駆け寄ると、誇らしげにビニール袋を掲げてみせます。ほんと嬉しそう! そんな二人にキュンキュンしちゃうお母さん。親バカなんです。でも世間の親はみんな親バカです。自分の子供が大好きです。それがこんな可愛い双子ちゃんならなおさらです。 「おかえりーっ!ありがとうね、二人とも!」 「ちゃんとね、けえとてぇつないだの!」 「カゴ!ふたりでもった!」 「「ふたりでできた!」」 ぎゅううっと小さな二人がお互いを抱きしめて、それをさらにお母さんが抱きしめます。あれ、お母さんちょっと涙目。 「二人とも偉かったねぇ。さ、おやつ食べな!」 「やったー!」 「けえ、てぇあらってからだよ!」 さすがお兄ちゃん、しっかりしてます。 洗面所で仲良く並んで手を洗い、お母さんが用意してくれていたおやつを食べます。お揃いのコップには、継くんが頑張って持ってくれた牛乳を入れてくれました。 ソファに座る楽しそうな二人の声を聞きながら、お母さんはプリンとから揚げの下拵えです。 しばらくすると、二人の声が聞こえなくなりました。お母さん、キッチンからそちらに目を向けて笑ってます。 「ほんと、二人とも可愛いんだから」 いつの間にか、二人とも眠ってしまったようです。ソファに凭れて、お互いの肩と頭をくっつけて支え合ってます。 小さな手のひらは、相変わらずぎゅうっと繋がれていました。 終わり

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