343 / 507
【番外編】はじめてのおつかい
「「いってきまーす!」」
今日は双子の創くん、継くんが、初めて二人でお買い物に行くことになりました。
明日は二人の誕生日。お母さんが創くんの大好きなプリンと、継くんの大好きなから揚げを作ってくれるので、スーパーでその材料を買いに行きます。
「けえ、くるま!」
「うわあっ、あぶなーい!」
「ほら、こっちおいで?」
狭い歩道を、小さな手を繋いで歩きます。道行く人を癒しながらとことこ歩いていると、向こうからお友達の大介くんとお母さんが来ました。
「あらー、双子だけ?お母さんは?」
大ちゃんのお母さんは、二人だけで歩いているのに気が付いたみたいでそう尋ねます。
「オレとそおだけっ!」
「うぉーっ、すっげー!」
「えへへ、おかあさんにプリンとからあげつくってもらうの!」
嬉しそうにそう話して、また歩き出しました。
すぐにスーパーに着くと、入り口でカゴを取ります。ですが、あれれ、小さな二人では高く積み上げられたカゴに手が届きません。
さあ、どうしよう?
「うーん、とどかない…」
ぴょんぴょんジャンプするのは弟の継くん。
冷静に周りを見渡しているのは、お兄ちゃんの創くん。あ、どうやら低い山のカゴを見つけたようです。
一つカゴを取り、再び手を繋いで店の中をウロウロ。
卵と牛乳、それに鶏肉を買ってくるように言われてます。
「わあ、みて!たまごのあかちゃん!」
創くん、それはウズラの卵です。それじゃあプリンはかなり小さくなりますよ。
「そぉ、このオレンジのだぞ!」
お母さんがいつも買っているのは、こっちの大人の卵です。
そぉーっとパックをカゴに入れて、お次は牛乳。
「これ、おかあさんかうやつ」
創くんが牛乳パックを一本抱えてカゴに入れます。
小さな体では、卵と牛乳の入ったカゴは重くて仕方ありません。
「そぉ、オレがもつ!」
「えっ、だっておもいよ?…あ、じゃあはんぶんこね!」
お兄ちゃんは考えました。どうすればこの重いカゴを二人で持てるか。
そうです、半分ずつ持てばいいんです。さすが双子!なんでも平等にするのが渡辺家の教育方針なんです。
ともだちにシェアしよう!

