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向日葵
【継side】
庭の手入れをする創に、後ろから近付いて抱きしめる。
「創、暑いからそろそろ部屋入れよ?」
「うん、もうちょっとね」
あとこの肥料撒いちゃうから、と袋を開けて白い粒状の肥料をばらばらと撒き散らす。
仕上げにホースから水を出して、庭中に水を撒いた。
「…えいっ!」
「おわっ、冷てえっ⁉︎」
ふいにその矛先がこっちを向いて、シャワーのように水がかかる。思わず抱きしめていた腕を離すと、くすくす笑いながらまた水を掛けてきた。
「ちょっ、創さん冷たいから!」
「あはは、水も滴るイイ男だよ、継!」
じゃぼじゃぼとホースの先からは水が流れていて、にっこりと笑う創。可愛いんだけど、でも冷たいです。
くすくす笑いながらまた水を撒いている創の手からホースを奪って、弧を描くように上に向けて水を出して、創の頭から掛かるようにする。
「ひあっ!?冷たッ!」
「お返し。これでプール行かなくてもよくなっただろ?」
「もぉっ、継ってば!」
苦笑する創の頬を伝う水が、太陽の光を反射して光る。
濡れちゃったでしょー、とオレをびしょ濡れにした張本人が、濡れて肌に張り付いたシャツの裾を持って体から離す。
今日の創は、Tシャツにショートパンツなんていうラフな格好で、遊園地に行った時に買った向日葵のバレッタで前髪を留めてる。超絶可愛い。最近このスタイルがお気に入りらしい。もちろん、オレも目の保養になるし。
けどさ、濡れて透ける肌が、うん、エロいです。
「なんか、ヤバい」
「え?」
蛇口を捻って水を止めた創が、こっちを向いて首を傾げる。ああもう、それがヤバいんだってば!
かああっと熱くなるのを感じて、慌てて創に駆け寄りぎゅっと抱きしめる。
「ごめんね、怒った?」
「…ちゅうしたい」
「ふふっ、なんだ、そんな事で走ってきたの?」
少し体を離して、創がちゅっと可愛く唇を重ねてくれた。
髪から垂れる雫が、頬から首に伝うのを追いかけて舐め取る。ぴくりと震える創のシャツの上からでもわかるそこを指先で弄って、今度は深く貪った。
舌先を擦り合わせて、上顎のあたりを執拗に舐め上げれば、甘い声が絶え間無く零れる。
「んっ…は、ぁ…継、ん…」
「創、部屋、行こう?」
こくんと頷く創を抱き上げると、すぐに首に手を回してくる。 可愛いなあ。
じっと見つめてくるから、その鼻先にちゅっと唇を寄せてみた。
「なに?」
「ん、なんか、濡れてる継がいつもよりカッコ良くて見惚れてた」
ふわりと微笑む創が、足をぱたぱたさせてサンダルを脱ぎ落とすのを確認してからリビングに降ろす。オレの首に絡めた手はそのままに、肩口に擦り寄ってきた。
「継…ずっと、おれの事見ててね?」
「当たり前だろ。てか、創しか見えてないから」
向日葵のように、創がどこに行ったって創しか見てないんだ。
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