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ふしだらなハート

「ひぁっ、んんー……っ!」 ぐちぐちと念入りに解してくれたおかげですっかり柔らかくなったそこに、継がゆっくり入ってきた。 いつの間にか破り捨ててあるビニールのパッケージが二枚、組み敷かれた机の端にあるのが目に入る。今おれの目の前にあるのは継ではなくて、継の匂いのするジャージ。 うつ伏せにされて後ろから腰を掴まれて、ガクガクと力の入らなくなる脚。縋り付くものが何もないこの格好、ほんとは嫌い。継もそれを知ってるから、いつもはしないんだけど。 ぎゅっと抱きつく事もキスする事も出来ないし、何より継の顔が見えない。 それでも許してしまうのは、継が理性を飛ばしちゃうくらいに本能でおれを求めてるのがわかるから。 「はっ、創…っ、」 ヌチュヌチュ、パンっパンっ、そんな音に混じって継の熱い吐息を聞かされたら、お腹の中も胸もきゅんとする。 継のジャージに顔を埋めると、まるで継の胸に縋り付いてるみたいに錯覚する。けど、継の胸はこんな机みたいに硬くないし、暖かいし、ぎゅってしてくれるし、頭撫でてくれるし、キスだってしてくれる。 「んっ、け、ぃいー……」きちんと言葉にしたくて、喉の奥に力を入れて継の名前を呼ぶ。おれの大好きな継の名前。 ズンズンと下から突き上げられて、頭のてっぺんまで突き抜けてしまいそう。おれの腰を掴む継の手に自分のものを重ねて、きゅっと力を込めた。 「あっ、んんーっ…けぇ、ぎゅってして…」 「創…マジで可愛い。すげえ好き」 「ひあああ…っ!」 後ろからぎゅっと抱きしめられて、奥の奥まで入ってくる。角度が変わって当たる場所も変わり、中がぴくぴく痙攣するのが自分でもわかった。 目の前がチカチカしてきた。でも、まだ我慢する。だって、継と一緒がいい。 「っは、締めすぎ…」耳元でそんな苦しそうな、でも熱い声で囁かれて、それでも更に激しくなる動きに、もうおかしくなりそう。 「あっあ…んっ、けぇ…も、んぅ…っ!」 「創、愛してる…愛してる…っ」 一際奥をぐっと突かれて、とうとう目の前が真っ白に光る。ぎゅっと抱きしめられて、うなじの辺りに柔らかくて暖かいキスが降ってきた。 嬉しくて、幸せで。でも、そんな時に見たいのはジャージなんかじゃなくて。 最後の力を振り絞り、腕を立てて上半身だけ捻って後ろを向く。まだ繋がったままで、継がそっと支えてくれた。 ずっと見たかった継の顔がそこにある。 「けぇ、だいすき」 「ん、オレも」 ちゅ、と触れるだけのキスを、顔中にしてくれる。嬉しい。幸せ。 だから、少しおねだりしてみた。 「帰り、おんぶして?」 「ん、分かってる」 「帰ったら、前からして…」 「おう、もちろん」 ふっと笑うその笑顔に、ドキドキする。 霞む意識の片隅に、継の声とトランペットの音、そして二人の心臓の音が聞こえた。
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