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狙うは君
「あ、全部成功でネズミーランドペア招待券だって」
ほら、と創の細い指先が示した景品一覧に目をやると、確かにケーキ詰め合わせセットの上にはネズミーランドのペアチケット。
でも、【限定一本。早い者勝ち!】なんて書いてある。という事は、まだあいつらは来てないのか。
それならやっぱりオレが狙うのは決まってる。
「創、ケーキでいいよな?」
「うん!」
あっさりと四本決めたオレの隣には、ケーキ詰め合わせの箱を嬉しそうに抱えた創。
両手で大事そうに持ってるから手は繋げないけど、かわりに創の腰に手を回して歩く。少し屋台を見ていたら、やっとあいつらが来た。
「あっ、ジャスティンと大ちゃん!」
「なんだよ二人ともすげえ荷物だな」
言われてみれば、創はケーキ、オレは射的の景品をそれぞれ持っていて、ただの夏祭りなのに買い物でもしに来たみたいな量だった。
「今来たの?」
「ああ、ゲタが歩きにくくて遅くなった」
「そんなら早くアレ行ってこいよ。んでさくっと決めて来い」
値段のためかなかなか挑戦者が集まらないコートを指差してゲームの趣旨を説明すると、ジャスティンの目の色が変わった。
「五本でいいんだな?」と自信ありげににやりと笑うジャスティンは、どんなにギャラリーがいようといつも通りに決められる。
「おう、んじゃなー」
結果なんか分かり切ってるから、創とネズミーランドの土産に何を頼むか話しながら屋台巡りを再開した。
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