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とびっきりのプレゼントをあなたに

とびっきりのプレゼントをあなたに 「ちょっと待って!何それ!」 「ほら、いいから先に中入れって」 「わっ!ちょっ…継?」 広いとは言えない浴槽の中、いつもと違って横に並んで座る。膝を抱えて縮こまりながら、そっと肩だけ触れてみた。 ああ、やっぱりオレの隣には創がいなきゃダメなんだ。 何年か前には当たり前だった隣どうし。でも、今はもうそれだけじゃ足りない。 「…継?」 「オレと創はさ、ずっと一緒だったじゃん?」 「ん、そうだね」 きゅ、と控えめに握られてくる手のひら。指先に力を込めると、コツンと肩にのしかかる重み。 離れたくない、大事なもの。 「オレはさ、創と違う大学とかぜってーやなわけ。創は?」 「おれ、は…」 「ん、言ってみ?」 「…バスケ頑張る継が見たい」 「本音は?」 「………継と違うとこ行くのやだ」 ほら、答えは出てる。もとは同じだったんだから、離れるなんて無理な話だったんだ。 ま、わかり切った答えだけど。 この肩に感じる重さは、オレにしか背負えない。生まれる前からずっと隣に感じていたこの温かさが無くなるだなんて、初めっから考えられなかった。 「バスケはさ、体育大じゃなくても出来るし」 「…うん、でも」 「創は知らないかもだけど、うちの先輩らが行った教育大、バスケめちゃくちゃ強くて有名なの」 「…え?」 去年卒業した先輩達がいる教育大は、リーグ優勝経験もある強豪校。プロ選手だって何人も輩出してる私大。今年も、何人かの先輩達がスポーツ推薦ですでに決まっていた。 ちなみに、梅ちゃんの出身校だったりする。 「こないださー、一度練習見に来いって連絡あったんだよ」 「…その、教育大って、さ…」 「ん、保育科のあるとこ」 だから。 「オレと一緒に教育大行こう、創」 離れ離れになるなんて、考えられないから。

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