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甘やかで密やかな僕らの恋

【ジャスティンside】 昼休み。やっとのことで壁を抜け出し、ダイスケの腕を引いて教室を飛び出した。 掴んだ腕を振りほどく事なく、ダイスケは一緒に走ってくれる。 けれど。 「……ここ、どこだ?」 「おい」 自分の学校ではないのをすっかり忘れていた。かっこ悪い。 がっくりと項垂れたオレの腕を、今度はダイスケが引いて行く。黙ってそれに従うと、校舎の屋上へと続く階段に着いた。 「…あのさ」 「ん?」 「お前んとこじゃどうなのかわかんねえけどさ、日本はちょっと違うんだよ…」 ダイスケが困ったように頬を掻いて笑う。ああ、そんな仕草も可愛くて好きだ。 少し身長差があるせいか、じっと下から見つめてくる。このまま腕の中に閉じ込めてしまいたい。 「えっと…まずは、お友達から、なんて、な?」 微笑んだダイスケの顔が赤いのは、惚れた弱みとかじゃない。 その顔も、声も、視線も、吐息も、何もかもを手に入れたい。 「…I want to catch you absolutely」 「ふーん………catch me,if you can?」 不意にダイスケの顔が近くに見えた。そう思ったら、頬が熱を持ったように熱くなって、ダイスケがキスしてくれたんだと気付く。 頬というあたりがシャイで可愛いじゃないか。 くるりと背中を向けて歩き始めるダイスケを、後ろから力いっぱい抱き締めた。 **** 中の人より 「オレのもんにしてみせるから」 「出来ると思うならやってみれば?」 …的な意味です。 今の二人っぽいですね。

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