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惚れられた弱み
ジャスティンが俺の首筋に顔を埋めて、なんかスンスンしてる。
「ちょっ、匂い嗅ぐなっての!」
「ダメ?」
「だめ!汗臭いだろ!」
えー?とか言いながら、止めようとしない。ちょっと、マジで恥ずかしいんだけど。
はあ、とため息ついたら、そこに柔らかいものが押し当てられた。そんで、ざらっとした感触。こいつ…!
でも指摘すんのも恥ずかしいっつーの!
「おまっ、いい加減に…!」
「うん、もう少しだけ…」
ぎゅうううっと、俺を抱き締めている腕に力が入った。けれど、振りほどこうと思えば簡単に逃げられる。
それをしない俺。
もう少しこのままでいたいとか思ってしまう俺。
「…しょうがねえな」
自嘲気味にそう呟き、背中の体温を体に刻み込んだ。
惚れられた弱みというか、なんか、イヤじゃない自分が自分じゃないみたいだった。
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