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I love youの鎖を君に
「盛り上がってるとこ悪いけど、そろそろ戻ってこいお前ら」
掛けられた声に気付きそちらを見れば、呆れたような顔で腕を組んで壁に凭れるケイがいた。
「オーケー。じゃあテーピングしたら戻る」
「おう。早くなー」
「いやいやなんで普通にしてんのお前ら」
真っ赤な顔で照れるダイスケ。まあ確かに見られていたらしいけれど、何か問題でも?
ああ、問題あった。ダイスケの可愛い顔を、オレ以外のやつに見せてしまったな。もったいない。
「オレも創にチューしてもらおっと。先戻ってんなー」
ニヤリと人の悪い笑顔でケイが出て行くと、ばしばしとダイスケがオレの胸を叩く。
ああもう、What a cute!
「ダイスケ、指」
「え、ああ、うん…」
バッグからいつも使っているテーピングセットを取り出して、少し落ち着いたらしいダイスケの手を取った。
割れた爪に速乾性のトップコートを塗り、息を吹き掛ける。
「っ、」
「じっとして、すぐ乾くから」
「ん……」
乾いたそこにキスを落として、テーピングテープを巻いて閉じ込める。きっと耳まで真っ赤なんだろうな、見なくてもわかる。
この気持ちを巻いた鎖が解けないように、しっかりと貼り付けた。
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