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君へ贈る僕のfuture
胸に抱くダイスケの温もりにだんだんと心が落ち着いてきた。と同時に、いつか来る別れの時が頭に浮かぶ。まあそれは一時的なものにすぎないけれど。むしろ離れた時間以上に一緒にいるつもりだ。
「一年後、オレは卒業する。そしたら、迎えに来るから…」
「いやいや、日本は卒業式3月だから無理」
「…じゃあ、ダイスケが卒業するまで待つ」
「勝手に人の進路決めんなアホ」
握った手でどんと叩かれた。ちょっと痛い。
「え?だって、アメリカ行くんだろう?」
「…いつか、な」
普通の高校生にしては堪能な語学力は、きっとそのためだろうと思っていたから。
ダイスケがぐりぐりと額を押し付けてくる。今度はそれほど痛くはないけど。
大きく息を吸って、ゆっくりと吐き出すように言葉を紡いだ。
「…トレーナーに、なりたいんだ」
「フィジカルの?プレイヤーじゃなくてか?」
「ん。でもバスケは好きだし、辞めるつもりはない」
きゅっとシャツを握り締める手に力が入って、再び頬ずりされた。
夢を形にするためには、それを語る事だと聞いた事がある。それなら。
「じゃあ、オレの専属トレーナーになって?」
「…………いつか、な」
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