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大きな過ちを犯してしまいそうな夜

「おい創、雨降ってきたぞ!」 「あ、大ちゃんいらっしゃ…ええぇぇっ⁉︎ちょっと継っ!洗濯物入れるから手伝って!」 「ん?おう」 チャイムも鳴らさずに入って来たダイスケは、雨に濡れてびしょびしょだった。 慌ててベランダへ出て行った双子とは逆のバスルームにダイスケを連れて行き、備え付けてあるバスタオルで包む。 ごしごしと頭を乱暴に拭くダイスケからタオルを奪い、髪を丁寧に拭いてやる。時折前髪から頬に垂れる水滴に目を奪われそうになったのをなんとか堪えた。 「随分濡れたんだな」 「ははっ、水も滴るってやつ。惚れ直したろ?」 ああ、もちろん。 その答えは、一瞬だけ触れ合った唇に直接伝えた。 「大ちゃんそのままお風呂入れば?」 「うぉおっ⁉︎びっくりさせんな!」 「だな、体も冷えてるし」 いつの間にかソウに抱き付いたケイがバスルームにやって来ていた。 ケイを引き剥がしたソウがバスタブに湯を張る。ちらりとオレに視線を寄越したその笑顔が、何かを企んでいるかのように見えて仕方ない。ああ、やっぱり二人は兄弟なんだな、こんなところはそっくりだ。 「あ、大ちゃん泊まるならお菓子とかジュースとか色々買いに行かない?」 「おう、そのままデートしよ、創」 「2時間くらいで戻るから、ゆっくりお風呂入っててね」 再びソウをぎゅっと抱きしめて、二人はそのままバスルームを出て行く。 タオルを首にかけて、ダイスケが犬のようにふるふると頭を振る様子を見ながら、頬に当たる飛沫で我に返った。 そして冒頭に戻る、というわけだ。 どうすればいい⁉︎ だって今日は金曜日、このまま週末を迎えてしまう。ダイスケが泊まるなら部屋はオレと同じだしあああもちろんベッドだって同じじゃないか無理だ待つと決めたのに無理だ無理だ無理だ無理だ無理だ……… 「お前さ、やっぱバカだよな」 そう呆れた顔で呟いたダイスケが湯気の中に入っていくのに気付かなかった。

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