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お兄ちゃんと一緒
「おっしゃー!乗りまくるぞ創っ!」
快晴の日曜日。皆で遊園地に来ました。
おれと継はお揃いのオーバーオールにTシャツとキャップ。お気に入りの服でデートするのは、やっぱり嬉しいな。
「創、早く行こうぜ!」
「うん、走ると転ぶよ?」
ぎゅっとおれの手を握って走り出す継は、まるで子供みたいに無邪気で可愛い。
「うわー、可愛い双子ちゃんだ!」
「仲良しだねぇ」
口々に周りの人に話しかけられるのはいつものことだからもう慣れた。だって子供の頃からずっとだし。
おれと継はいつも一緒にいる。二人一組みたいな。
でもそれぞれ個性があって、それぞれ別の人間で。
よく言う『二人で一人』とは違う。おれはおれ、継は継。
だから、お互いがお互いを理解して好きになったんだよね。
「継、大好き」
隣に並ぶ継に、今思った素直な気持ちを伝えた。
きゅっと繋がれた手のひらが、暖かくて、すごく幸せだなあ。
そして、後ろを歩く二人をちらっと見て思ったのは…
なんだあの初々しさは!可愛い!大ちゃんツンデレさんだったんだね!
「ね、ね、継っ!今日の大ちゃん可愛いね!」
「いや創の方が何億倍も可愛いから」
真顔で返されちゃった。嬉しいけど、うん。
握った手に力を込めて、少し継を引っ張り耳元に囁いた。
「あのさ、おれたちがラブラブしてたら二人も釣られると思んだよね」
「だろ?オレもそう思ってた!」
やっぱり同じ事を考えてたんだね、よかった。
じゃあさっそくだけど、そのまま継の腕に自分の腕を絡めて歩いた。
あれ、これっておれが一番得してないかな?
まあいっか。
「どれから乗ろうか?」
「あれ!あのグルグルのやつ!」
継が指差したのは、この遊園地の目玉となっているジェットコースター。なんだかすごい高いしすごいグルグルしてる。
「え、マジで言ってんのかよ!」
「あれ、そう言えば大ちゃん絶叫マシン系って苦手だっけ…」
明らかに引いた大ちゃんの顔を見て、昔この手のアトラクションで大ちゃんが大泣きしたのを思い出した。
じゃあ違うのにしようか、と口にしようとした時に、パンフレットに書かれた内容を継が読み上げる。
「きゃー怖い、なんて、彼に抱き着く口実ができそう」
ジャスティンが大ちゃんの腕を引いて、アトラクションの入り口の階段へと向かうのが見えた。
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